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注文の多い料理店

宮沢賢治による童話作品。
青空文庫 図書カード:注文の多い料理店
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43754.html
組版テキスト(青空文庫のテキストを印刷用に加工したものです)
「注文の多い料理店」組版テキスト(PDF)

目次

注文の多い料理店 あらすじ

二人の青年紳士が猟に出て道に迷ってしまう。
腹をすかせた二人は「注文の多い料理店」に入り、店からさまざまな要求をされる。
最後の部屋まで素直に言うとおりにしていた二人だったが、
とうとう自分たちが食べられようとしていることに気が付いてしまう。
そして、いよいよ食べられてしまう、という時になって二人の連れていた猟犬が店にやって来る。
その後、案内に雇っていた猟師がやってきて、二人は無事東京に帰ることができたのだが、
恐怖にゆがんでしまった顔だけは、もうもとに戻ることはなかった。

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注文の多い料理店 解説

「注文の多い料理店」を私が最初に読んだのは小学生の時で、
その時以来、ずっと「怖い話」なのだと思っていた。
ところが、この「注文の多い料理店」について、賢治自身は次のように書いている。

二人の青年紳士が猟に出て路を迷い、「注文の多い料理店」にはいり、その途方もない経営者からかえって注文されていたはなし。糧に乏しい村のこどもらが、都会文明と放恣な階級とに対するやむにやまれない反感です。
宮沢賢治 『注文の多い料理店』新刊案内
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/43734_17913.html

当時のこどもたちから見たら、私たち現代人は放恣な都会文明の住人だろうから、
「怖い話」という感想はそんなに間違っていないのかもしれない、とも思うが、
村のこどもらというのは、料理店の猫たちのことだろうから、
この話は「怖い話」なのではなくて、「滑稽で面白い話」なのだろうと私は考えている。
「注文の多い料理店」の収録はもう終わっているのだが、
沢城さんは見事に「滑稽」で「面白い」話として、そして少し怖い作品として、
「注文の多い料理店」を仕上げてくれた。
ぜひ、聴いてみてもらいたい。

ところで、賢治自身の手によって出版された『注文の多い料理店』の初版本は、
皮肉なことに極めて都会的で豪華な本だった。
当時の金額で1円60銭したのである。
賢治が想ってやまなかった貧しい東北の農民には当然買うことができない値段だったし、
そうでなくとも、米を5kgくらい買える金額を無名作家の本に出す人は当然いなかった。
その『注文の多い料理店』を大々的に売りさばこうとしていたというのだから、
賢治はやはりイイところのおぼっちゃんだったのである。

もちろん、だからと言って作品の価値が下がるわけではない。
目論見通りに本が売れたとしても、賢治がそれを自分の楽しみのために浪費したとは思えないし、
時代がもう少し賢治に追いついていれば、この値段でも十分に売れたのではないかと思う。

こうしたエピソードも含めて、「注文の多い料理店」は間違いなく、
文句なしで賢治の代表作と言える作品だと、私は考えている。

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外部リンク

注文の多い料理店 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%A8%E6%96%87%E3%81%AE%E5%A4%9A%E3%81...
宮沢賢治学会イーハトーブセンター
http://www.kenji.gr.jp/
宮沢賢治の宇宙
http://www.kenji-world.net/
宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス
http://www.kenji.ne.jp/why/

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