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貝の火

宮沢賢治による童話作品。
青空文庫 図書カード:貝の火
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card1942.html

目次

貝の火 あらすじ

子うさぎのホモイは、ひばりの子供を命懸けで救うという勇気ある行為によって、 貝の火という宝珠を得る。丸い玉のなかで美しい光が燃える貝の火は、 持ち主の行い次第で火がより美しくなったり勢いがなくなったりするとされ、 火の美しいままに一生持ち続けられた者は少ない、尊い宝珠であった。
貝の火を持ったホモイを周囲の動物たちは恐れ、敬うるようになる。
周囲の変化に最初は戸惑うホモイはだったが、 やがて自分は大将になったのだと、驕り高ぶるようになってしまう。
しかし、伝承とは裏腹に貝の火はますます美しく輝くようになり、 ホモイは傲慢な振る舞いを繰り返すようになっていく。
ホモイが己の行いを悔い改め始めた頃になって、貝の火はその光を失い砕け、 飛散した粉によってホモイは失明する。
そんなホモイに父親は、
「こんなことはどこにもあるのだ。それをよくわかったお前はいちばんさいわいなのだ。」
と告げるのだった。

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貝の火 解説

「貝の火」の主人公は子うさぎのホモイだ。
角川の註釈によると、"ホモイ"という名前は、
エスペラント語の「homoj(人間・複数形)」から来ているそうで、
言われてみると確かに「貝の火」の登場人物は誰も彼も人間くさく、
動物、という感じがあまりしない(服を着ているし)。

ホモイの両親にしても、実に人間くさく描かれていて、
子どもの所行をとがめはするものの、一見上手く行っているように思われると、
あっさり流されて、一緒になって調子にのってしまう。
実際、世の中の親というのは大体こんな感じだろう。

面白いのは狐の描かれ方で、貝の火を手に入れてみんながホモイを怖れ敬っているのに、
狐だけは冷静に狡賢くホモイを出し抜いてみせている。
過ぎた名誉と力を手にした者の周りには、狡猾なハイエナが群がるものだが、
「貝の火」ではハイエナの代わり狐がこの役目を果たしているのだ。

結局のところ、"貝の火"という宝珠は、持ち続けることができた者が、
自身の努力と忍耐によって「立派な人になる」宝だったのだろう。
私たちの世界の"貝の火"(オパール)にはそれほどの価値はないけれども、
資格とか賞とか役職とか年収というのは、まさにそういうもので、
「貝の火」のような話は、それこそ「どこにもある」ことなのである。

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外部リンク

貝の火 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%9D%E3%81%AE%E7%81%AB
宮沢賢治学会イーハトーブセンター
http://www.kenji.gr.jp/
宮沢賢治の宇宙
http://www.kenji-world.net/
宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス
http://www.kenji.ne.jp/why/

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